「総じて、人は己に克を以 て成 り  自らを愛するを以 て敗る」

 5月19・20日(水・木)に通信陸上大会が青木公園陸上競技場で行われた。本校陸上部の選手諸君の大活躍で大会は終了した。中でも男子400mリレーは大会新記録を打ち立てた。そのほか他の種目でも惚れ惚れするような走りっ振りで、校長としては他校の校長を尻目に溜飲を下げた。陸上部の男子は、昨年県の新人大会に於いて総合優勝を飾っている。今年は、各種目において全国大会を目指している県下の強豪チームだ。また、男女総合優勝を狙っている。チャンピオンがその座を守るというプレッシャーは並大抵のことではないと思う。他校の選手は、昨年南中に王座をとられ悔しさを心に秘め努力をしていることだろう。選手諸君はそのことを思ったことがあるか。市内、いや県下の選手たちが打倒南中を目指してくる。勝負とはそういうものだ。だから、油断、驕り、思い上がりは禁物だ。謙虚に、自分はまだまだ努力が足りない、そう自分に言い聞かせて丁度いい。多くのスポーツ選手で大成した人は、このような、自己コントロールが出来た人だ。人間は誰しも二つの心をもっている。楽をしたいという自分に甘い心と、いや、それではいけない、自分に厳しく、甘い心に勝たなければという心だ。私にもこの二つの心があり、毎日毎日葛藤している。陸上部の諸君。目標を実現するには、どちらの心を優先したらよいか、わかるだろう。相手に容易に勝つには、自らに克つことではないかと思う。
 生徒諸君。今月は中間テストが25日にあった。そして、6月は学校総合体育大会が行われる。いずれも同様。自らの成果を上げるためには自分に克つことだ。自己コントロールが成果を上げる鍵となる。
 6月9・10・11日は3年生にとっては、待ちに待った修学旅行だ。親元を離れ友と寝食を共にする。そして、日本の歴史・伝統・文化の宝庫、京都・奈良を肌で満喫出来る絶好の機会だ。是非、充実した3日間を送ってきてほしい。ところで、修学旅行と言えば、諸君は班行動が大半だ。よい思い出をつくるのも、悪い思い出をつくるのも、やはり諸君の心がけ次第であると思う。私の失敗談を紹介しよう。当時はどこへ見学するにもバスで移動した。清水寺の駐車場で、バスの中にいた私と同級生に、窓越しからアイスクリームを売りに来たおばさんがいた。その日はとても暑い日だったのを覚えている。ちょうど喉も渇いていた。アイスクリームの誘惑が私の心に忍び寄ってきた。自らの心に負け、つい私と数人の同級生は買ってしまった。もちろん、買ってよいはずはなかった。先生たちには当然見つかり、全体責任ということで生徒全員が宿の大広間に集められ、先生方から厳しい叱責を受けた。当事者である私たちは、その夜予定していた、お土産の買い物には出られないというペナルティが科せられた。大失敗をした私は宿でうちひしがれていたが、頼んだ訳でもないのに、同じクラスの子が私にかわって私の家族にお土産を買ってきてくれた。この時の友に対する感謝の気持ちは今も忘れることはできない。そのお土産は仏像の柱かけで、今でも92歳になる父親が家に大切に飾っている。
 「総じて、人は己に克を以て成り、自らを愛するを以て敗る。」これは、西郷南州公の教訓である。生徒諸君には成果を3年生には一生のよい思い出づくりを期待する。
(平成22年度6月)

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