意識調査の考察から見る生徒指導の課題

意識調査の考察から見る生徒指導の課題

川口市補導会副会長 坂本 大典(川口市立青木中学校 校長)

文部科学省所管の財団法人「一ツ橋文芸教育振興団」と「日本青少年研究所」が昨秋、日・米・中・韓、四カ国の各千人余りの高校生を対象に「高校生の生活と意織に関するアンケート調査」を実施した。
その一つに、「男は男らしく」、「女は女らしく」という性差意織が日本の高校生が突出して低いことがわかった。
内訳をみると、日本が特異な値を示したのは「女は女らしくすべきだ」との設問で、肯定した高校生が28・4%しかいなかった。
同じ問いかけに米国は58・0%、中国は71・6%、韓国は47・7%が肯定した。
「男は男らしく」も、日本で肯定したのは43・4%、米国63・5%、中国81・1%、韓国54・9%で四カ国で唯一半数を割り込んだ。

さらに、各国の高校生の規範意織を探るためいくつかの項目を設問した中で、日本は「学校のずる休み」を「よくない」と答えたのは27・4%しかなく、「親に反抗する」19・9%、「先生に反抗する」25・1%と批判する高校生は、米・中・韓の三カ国の高校生より突出して少なかったという。

「女は女らしく」「男は男らしく」という設問に日本の高校生が突出して低い回答には、内心、日頃から「男は男らしく」「女は女らしく」と生徒を見るたびに願っていることであるのでがっかりした。
新聞によるとこの結果は、近年の男女共同参画社会の推進により、日本の若者が影響を受けたと見られる。とコメントしている。
しからば、そうだとしたら、米国はどうなのか。「女は女らしく」が58・0%もあり、「男は男らしく」にいたっては63・5%となっている。
米国では、男女共同参画社会が推進されていないのかと考えるが、そんなことはないだろう。
米国では、女性の社長はいるし、クリントン前大統領のヒラリー夫人は今や大統領候補にまで上っていると言うではないか。
そうだとすれば、其新開のコメントでは、どうにも説明がつかないのである。
「男は男らしく」「女は女らしく」この性差はお互いに認め合い尊重し合う心持ちをもってこそ、男女が等しく成り立っていくものと考えるがいかがか。

また、「学校のずる休み」「親に反抗する」「先生に反抗する」ことは「よくない」と回答した高校生が前述の四カ国の中で日本が突出して少なかったという。
「学校をずる休みしたい」と思うことは、誰にでもある。
「親に反抗したい」ことだって、誰にでもある。
「先生に反抗したい」ことだって、誰にでもある。
しかし、いずれも、仮にそのことをしたとしても、悪いとわかって、致し方なくしてしまった人間は、後で反省し、悔い改めようとするのである。
はじめから、「よくない」と思わないとは、この高校生達はいったいどのような社会人になっていくのか。
最近、荒れている成人式がこの末路であると思う。
「道徳性の欠如」の何ものでもない。
学校のずる休み、親への反抗、先生への反抗。
「よくない」と答えるのが普通だと思う。
しかし、それが答えられないということは、学習をしてきていないと、いうことになる。
学習をさせなかったことは、大人の責任、教師の責任である。
大変な時代になった。
人ごとではない、我が事である。青少年の反社会的・非社会的行動は、ここから起因していることが大きいと推測する。

補導だより第105号 川口市補導会 平成16年3月20日発行

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