立志式式辞

立志式式辞
今年の冬は北海道・日本海沿岸の大雪。そして九州にまで雪が積もったという知らせがありました。
そして梅の花が開花し、春はもうすぐとささやいているようなそんな寒さ厳しい折柄にも関わりませず、本校PTA増田会長様、同じくひまわり教育振興会の伊藤会長様、同じく学校応援団佐藤団長様をはじめとして多くのご来賓の皆様をお招きして、ここに第一回川口市立南中学校立志式を挙行出来ることに深い慶びを感じるところであります。
記念すべき第一回の立志式に際し、本校校長として一言申し述べます。

保護者の皆様、昨年の四月を思い出してください。
何となく、まだ、中学校一年生の雰囲気がぬぐい去れないあどけない様子が感じられました。
さて、今はどうでしょう。
今からでも三年生になってもおかしくないくらいに、堂々と、落ち着いた雰囲気を醸し出し、成長した姿が感じられるのは、私だけでしょうか。
二年生は成長しました。大人になってきました。

さて、この度、立志式を開くことにしました。二年生という学年はともすると中だるみといわれるように中学校生活にも慣れ、何となく緊張感がなく過ごすことができそうです。
しかし、そうでしょうか。
実は、二年生というのは、とても中学校生活の中で重要な位置をしめていると私は思っています。
その過ごし方によっては、三年生になって大きな影響をおよぼすものだとも考えています。

昔は十二歳から十五歳になると大人になる時期としてその自覚をうながす儀式を行いました。
それが元服という儀式です。

みなさんは橋本佐内という人物を知っていますか。
越前の国(今の福井県)の出身で、大阪で蘭学を学び、医師となりましたが、残念ながら安政の大獄によって、二十六歳という若さで没し
てしまいました。
その橋本佐内が皆さんと同じ、弱冠十四歳で「啓発録」という本を執筆しました。
その本は 1、稚心ヲ去ル 2、気ヲ振ルウ 3、志ヲ立ツ 4、学ニ勉ム 5、交友ヲ択ブの五項目からなっており、それぞれに解説の文章がついています。

1、稚心ヲ去ル。では次のように説いています。
「稚心」とは、いわゆる幼い心のことで、俗に子供ぽいということである。
なにも人間のみに使用されるものではなく、たとえば、果実、野菜などでも未だ十分に熟しない間を「稚」と称する。
それは、すべて水くさく、成熟した本来の味を備えていない間をいう。
何物にもよらず、この「稚」を離れない内は発展するものではない。
人間も勿論、その例外ではなく、楽しい遊びを好み、あるいは、何の種類によらず、口当たりの甘いものをむさぼり、勤勉する気なく、母の目を盗んで自己の努力を怠り、又は、父母への依頼心が強く厳格な父を恐れて、穏和な母の膝下から離れないものは、皆少年の水くさい心が
原因となっている。
これも余りにも年齢が幼なければ止むを得ないと許されもしよう。
しかし、十三、十四歳にもなりこの心が残っているならば、何事も上達しないのであろう。と言っています。
皆さんと同じ弱冠十四歳の佐内がこのようなことを考えていたということです。
自立ということです。

どうですか。
皆さんにもできるでしょう。
皆さんは、大人になる第一歩を迎えました。
この立志式をきっかけとして、三年生になって、そして、将来に向かってどう進んでいったらよいか。
稚心のままでは、成長・発展はありません。
さらなる自覚とともに、自分自身を磨いていってほしいと私は願っています。

これから、南中の柱として、そして将来、輝く日本の柱として、成長し続けていってください。

諸君のますますの健闘を祈って、第一回川口市立南中学校立志式の式辞といたします。

平成二十三年二月十日
川口市立南中学校 校長 坂本 大典 

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