「大志抱き意気揚々と励む子等 みつめる眼おのずとゆるむ」

 平成16年度が、いよいよ始まりました。保護者の皆様、お子様の進級、そして、ご入学おめでとうございます。地域の皆様、保護者の皆様、昨年度は大変お世話になりました。お陰様でこの1年当初の目的が着実に進められ、子どもたちの成長の証しがそこここに見られるようになりました。
 今年度から学校教育目標を次のように掲げました。「心を磨く」「身体を磨く」「智性を磨く」です。
子どもたちや職員も、保護者の皆様、地域の皆様も、すぐに覚えられ、口ずさみ、意識できると思います。
 さて、新年度にむけ、春休み中の子どもたちの活動の様子は部活動あり、ボランティア活動あ
り、 新入生を迎えるための教室、校舎内の清掃等、その姿は、新しい年度を迎え、心新たに頑張ろうと いう志しが感じられました。さすが、新2、3年生です。3月24日には青木北小・青木中央小の卒業式に私と田丸前教頭と出席させていただきましたが、いずれも、態度・礼法が立派で、中学校生活への志と気概が感じられました。他の小学校から来た新入生もきっとすばらしかったことでしょう。このような新入生を迎える平成16年度の青木中学校は、前途揚々楽しみでありま
す。どうぞご期待ください。
 ところで、私には、自らの志を励ましてくれる歴史上の人物がおります。その人は、高邁な志を抱く、学者であり教育者である吉田松陰です。吉田松陰は、本名を矩方(のりかた)、通称を寅次郎といい、長州(山口県)萩の松本村に生まれました。ご存知の通り、松下村塾じで幕末から明治にかけて日本を欧米列強の植民地化政策から救うため、身命をかけて活躍する多くの人材を育てました。塾はもともと叔父の玉木文之進が開いたもので、松陰が主として、ここで教えたのは、僅か2年程度の短い期間だったのですが、松陰の教えを受けた者で、門下と呼べる者は約80名いたといいます。その中から、木戸孝充(桂小五郎)・高杉晋作・久坂玄瑞・伊藤博文(のちの日本国の初代総理大臣)山県有朋(初代文部大臣)・品川弥二郎(後のドイツ公使)等々、後に日本を背負う著名な人物を輩出しました。その中の弟子の一人である当時17歳の品川弥二郎が、松陰の人物像を語っていま す。 「誰しも先生の事跡より考えうれば、いかにも厳格にて厳烈なる人のように思われると思うが、実は温順にして怒るということなき、骨格の小兵な人であった。塾生は1度も先生から叱られたことはない。しかしながら、一人として先生を恐れざるものなく、みな先生を見て、ピリピリしていたものである。」と̶。 生徒を一度も叱ったことのない先生を、なぜ、生徒は恐れ、緊張するのでしょう。それは、松陰が、日々の生き様が真剣で迫力があり、教育に対する情熱が、生徒に自然のうちに伝わっていたのだと思います。また、松陰は、「徳を成し、材を達するには、師恩友益多きに居る」と言っています。人間性を高め、才能を磨きあげるには良い師から受ける御恩や、良い友から得る影響が多大であると言っているのです。教師としての生き様、考え方、学ぶところ大であります。この1年、世の中に必要な立派な人材を育てあげるため精進してまいります。

(平成16年度4月)

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