卒業式式辞

式辞
卒業生の諸君、ご卒業おめでとう。
ことのほか寒さ厳しき冬が去り、校庭の木々もあちこちで芽吹きをはじめ草花の開花がそこここに見られ、春の訪れを告げているこの佳き日に、公私共にご多忙の中を、川口市教育委員会米沢実学校教育部長様をはじめ、地域のたくさんのご来賓の皆様のご臨席を賜り、ここに盛大に、本校第57回卒業証書授与式をできますことは、誠にありがたく慈に感謝申し上げ、心から御礼申し上げます。
さて、卒業生諸君。君たち57期生は、私が校長として着任した平成15年の4月に入学した生徒たちです。
新任校長の私と共に三年間、この愛する青木中学校で学びました。私にとっては記念すべき生徒であり、一人感慨深い思いで一杯であります。諸君とのこの三年間の思い出は、語り尽くせないほどたくさん出来ました。この思い出は、私の一生の宝として胸の中に納めておこうと思います。
卒業生諸君、いよいよお別れの時がまいりました。私の最後の講話を静かに聞いてください。
諸君は、聖徳太子という人を知っていると思います。その、聖徳太子が、今から千四百年前、 当時の役人の心得として604年「十七条の憲法」を説きました。
第一条には「一に曰く、和を持って貴しとし、逆らうことなきを宗とせよ」云々・・と掲げられています。太子の育った時代は、歴史でも勉強したように氏族間の争いが沢山ありました。蘇我氏、物部氏の血なまぐさい抗争などはその頃です。
そして、国際的に視野を広げてみると、この時代は百済や新羅などの今の韓国、北朝鮮いわゆる中国を経由して朝鮮半島から様々な道具、技術、仏教など沢山の文化が日本に入ってきました。
文化が入ってくるのと同時に、渡来人といわれる外国人が入ってきました。聖徳太子は、そういった国際化の時代に必要なのはものの考え方、感じ方、文化、生活様式がまったく違う人の存在を認め、相手の立場を理解しようと心がけることが大切であると。そして、太子は、争いごとはいけないことだとも説きました。今の時代にもあてはまるのではないでしょうか。
日本の国のことを大和といいます。大和魂といえば、よくわかるでしょう。「大和魂」というと何となく勇ましい感じを受けるのですが、実は大和とは大きな和、和をもって貴となすというところから語源がきているものです。日本という国は、平和の和、大きな和を大切にすることが本来の国柄なのであります。大和の国に生まれ、大和の国で育った誇りと精神をよく理解して、これから生きていってほしいと思います。
二つ目は、諸君の育ったこの愛する日本の国の行く末を志と気概をもって案じられる人材になって欲しいと言うことであります。国がなければ郷土はない、国がなければ家族もないと思うのであります。
今から約百五十年前、黒船が日本に来航しました。そのことを期に、当時の我々の祖先は外圧から日本を守るためにはどうしたらよいかと苦心をし、命がけで我が国を守るために様々な努力をしていったのです。
諸君、今の日本の国は、このままでよいのでしょうか。
おれおれ詐欺、幼児をねらい殺害する事件、オートバイで弱い女性を狙うひったくり事件、成人式での傍若無人な新成人のふるまい、いずれも弱い者を狙う卑怯な手段、そのような事件が後を絶ちません。そして、金さえあれば何でも手に入る。人間の心も金で買えると豪語する人間が 世の中でもてはやされる。このような世の中でいったい日本はよいのでしょうか。
私は、今、日本は世界一平和な国家だと思っております。そして、この平和は、いつまでも守っていかなければならないと思いますが、これからは危ういと思います。金のためなら何でもする。弱い者をいじめて金をとる。今や日本人の心が忘れ去られてしまっているのです。情や正義がどこかへ行ってしまっているのです。我が国を案ずる人間になってほしいとはこのことであります。「和をもって尊しとなす」という日本本来の国柄を誇りを持って諸君たちに創っていってほしいのです。日本に生まれ日本で学んだ誇りをもってほしいのです。そんな素敵な精神をもった青年に成長していってください。
最後に、保護者の皆様、お子様のご卒業衷心よりお祝い申し上げます。お子様の成長をみて私がこれだけうれしいのですから保護者の皆様のお喜びは、いかばかりかと拝察申し上げます。
この上は、本校で培った力を十二分に伸ばしていただき、立派な人材に育つことをこころから お祈りいたしております。
併せて、今まで本校の教育活動に深甚なるご理解とご協力に感謝申し上げます。
終わりに、重ねて、卒業生諸君の本校の卒業を祝福するとともに、本日ご列席賜りました皆様のご健勝をご祈念申し上げまして式辞といたします。
平成18年3月15日
川口市立青木中学校 坂本 大典

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