「国のため 我が身を奮(ふる)う 呪文なり  弱気は己を守る 心なりけり」

 あけましておめでとうございます。新しい年を迎え心新たに1年を送ろうと、皆さんそれぞれの思いをもたれたことと思います。1年の計は元旦にあり。私もこの1年、このことについて心してかかり、生きて行こうと思ったことがあります。それは、「日本のために働く」ということです。教師となって36年間、呪文のように「日本のために教育はどうあるべきか」と考えると、不思議に自分の心が奮い立ちここまでやってきました。力足りずどこまで出来たかわかりません。偉そうにと言われるかもわかりません。定年まであと1年。心新たにして「日本のために働く」その気持ちを強くもちました。
 昨年9月から3年生222人に、一人一人進路に向けての校長面接を行いました。その中で「最近のニュースで特に印象に残った出来事は」という私の問いに、「尖閣諸島における中国漁船の衝突問題と北朝鮮による韓国への砲撃です。」と答えた生徒が半数を超えました。この問題は中学生でも関心のある大きな事件なのだなと思いました。この二つの事件は我が国にとってとても大きな憂慮すべき事件ですが、その中で私が看過できない映像が尖閣諸島の事件のニュースでの映像でした。ご承知のように中国漁船の船長が日本の海上保安庁に逮捕されました。そのあとのニュースです。中国では反日デモが行われ、一部の心ない中国人によって、我が国の国旗日の丸が焼かれ、踏みにじられ、引きずり廻されている光景が映し出されました。私は、何とひどいことをするのだろう、と思いました。国旗というものは、その国の国民の象徴であり、尊厳であります。苟(いやしく)もそれを公衆の面前で、世界に発信する映像の前で焼き、踏みにじり、引き回すとは。私は悔しい思いでいっぱいでした。自分の尊厳が否定され、日本という国の尊厳が否定された思いでした。この思いは嘗(かつ)て私が、先輩に遭ったいじめの時のような悲しい、自分の尊厳が踏みにじられたような、どうにもならない悔しい思いに似ていました。皆さんはこのような光景を見てどういう感情になりますか。国旗は、どこの国の国旗でも敬意をはらい、扱わなければならないのです。その国と国民の尊厳であるからです。真にその国を愛している国民は自国の国旗を尊重するとともに、相手の国の国旗も尊重するのです。「真の愛国心とは何か。」今年は諸君に考えてもらいたいと思っています。学力をつける、体力をつける、豊かな心を育てるのと同じように、これからの日本人が身につけなければならない重要な資質だと考えています。私は今年「日本のために働きます。」
 私は「日本のために働く」と言いました。大言壮語だと思います。皆さんは勉強を誰のためにやっているのですか。自分のためにやっているとしたら、苦しくないですか。自分のため、と考えると弱気になりませんか。それは他に味方がいないからです。お母さんのためでもいい、お父さんのためでもいい、彼や、彼女、友のためでもいい、母校のためでも。誰かのためにと意識すると誰かが応援してくれて、何か、不思議にエネルギーが湧いて、奮い立ってきます。昨年ノーベル化学賞を受賞した根岸英一教授や鈴木章教授の研究にしても、この研究を進めていったらきっと人々のためになる。そう信じて研究を重ねて、奮い立っていったのだと思います。そういう意識がノーベル賞へと導びかれたのでしょう。
 人間は自分のためにとか、自分を守ろうとか、そういう意識が働くと、出来なかったらどうしようとか、守れなかったらどうしようとか、弱気な意識が働き、結果的に目的が成就できなかったりするのです。3年生諸君、受験は自分のためにするのではない。自分以外の誰かのためにするのだと意識を変えて自分自身を奮い立たせてほしい。頑張れ。1・2年生は、さらに「〜のために」という意識をもって自身を高めていってほしい。今年一年、「友に優しい心持ち、我に厳しい南中生」として「心を磨き・身体を磨き・智性を磨いて」いきましょう。
(平成22年度1月)

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