「父も母も、わが身なり  われを愛せよ、われを敬せよ」

7月に入り、中学生による衝撃的な事故・事件が3件あった。

先ずは、東京・練馬区中学2年生の2人の女子が、マンションから飛び降り、自殺した。「特に何をされたわけでもなく、生きるのがいやになった。」という書き置きを残している。

沖縄では、中学2年生の男子が、複数の中・高校生により集団で暴行され死亡し、その死体に土がかけられたという事件があった。

長崎では、中学1年生の男子が4歳の幼な子に、身体にハサミで傷をつけ、駐車場から突き落として死亡させてしまったという。いずれの3件の出来事は、衝撃以外に何と表現してよいかわからない。

言える事は、少年達に共通する事として、「心の弱さ」と「自らの命・人の命の大切さ」を心の底から理解していないという所にある。

心の弱さとは、苦しみや悲しみを乗り越えて生きて行こうとする強さが培われていない事。集団で1人の少年を殴るという群集心理でなければ行動できない弱さ。

幼な子でなければ、自分よりも弱い子でなければ、相手に出来ないという弱さ。いずれの3件の事故・事件を起こした中高生に共通する弱さである。そして、一番残念なのは、自分の命の大切さと、人の命の大切さを理解していない事である。

彼(か)の二宮尊徳の有名な道歌(道徳的な教訓を含んだ和歌)に、「父母(ちち はは)も、その父母(ちち はは)もわが身なり、われを愛せよ、われを敬せよ」と詠んだものがある。

「私という人間には父母がいて、その父母つまり、私の祖父母がいて、さらにその上の祖先がずうっといて、その祖先の願い、つまり私が幸せに生きていってほしいという祖先の願いが、私のなかに生き続けている。それが私というもの、だから、その尊い存在である私を大切にし、敬愛しなければならない。同時に他の人も同じく、そういう尊い人間なのだから、お互いに愛し合い、敬い合っていこうではないか。」と詠んでいるのであります。

学校では、子どもたちと真正面から、先生方が向き合っています。登校指導で、学級指導で、授業の中で、子どもたちの目の色・顔の色・心の色を察しながら、声をかけ、相談にのっております。何か心配事があれば、ご家庭にも連絡を取り、連携をとっておりますが、これからは、これまで以上にご家庭との連携をより緊密にしていかなければならないと考えます。

夏休みに入ります。是非、ご家庭で、自他の命の大切さを、しっかりとお子様と家庭での話題の一つに加え、じっくりと話し合っていただきたいと思います。また、何か心配事がありましたら、ご相談ください。前述の3件の事故・事件を対岸の火事と受け止めることなく、自らの事として、今後も心して行きたいと思います。

夏休みが子どもたちにとって、健康で安全な日々でありますように切にお祈り申し上げます。

(平成15年度7月⑵)

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