至誠惻怛(しせいそくだつ)

「まごころと(至誠)と、いたみ悲しむ心(惻怛)があれば、やさしく(仁)なれます。そして、目上(先輩)には、まことを尽くし、目下(後輩)にはいつくしみをもって接するのです。心の持ち方をこうすれば、物事をうまく運ぶことができるといいます。つまり、この気持ちで生きることが人としての基本であり正しい道なのです。」幕末の儒学者山田方谷(備中松山藩の財政改革を行い、上杉鷹山を凌ぐといわれている人物)は弟子が自分のもとを離れ旅立つときに、この一文をしたためて託したそうです。
儒学は人の生き方や処し方が語られています。先人の生き方を現代に置き換えてみても参考になることがたくさんあります。相手を慮る。まごころを持って人に接する。思いやりをもって人に接する。これらの意識を持って日常生活、学校生活を送ることの大切さを子どもたちに気づかせ、人としての生き方を学校生活において体感させたい。
病気をしている友の苦しみを、勉強がわからない友の苦しみを、努力しても努力してもできない友の苦しみをわかろうとしてほしい。一生懸命頑張って賞をとった友を共に喜べる人に、厳しい練習に歯をくいしばって頑張っている後輩を心から励ますことのできる先輩に、後輩として先輩をたてることの大切さがわかる後輩に、人の弱さにつけ込んでからかったり、いじめたりすることは卑怯者のすることだとわかる人になってほしい。
弟子が自分のもとを旅立つにあたり前文を託した山田方谷は人生の先輩として人の生き方を説いたのだろう。やがて青木中学校を旅立つであろう本校生徒を思うとき、着任一月を経過した校長としの子どもたちへ期待する人間像の一部であります。

(平成15年度5月)

 

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